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サイドの重要性

  • CL決勝トーナメント組み合わせ抽選会を19日にふまえて

CLのグループリーグも終わりベスト16が出そろった。我らがバルサは早々に1位通過を決め、危なげなく16チームに加わった。クラシコも制し、2位とも8ポイント差をつけての単独首位。国王杯ではレアルマドリードら1部チームが2部などのいわゆる“格下”にこけさせられる中、危なげなくベスト16に進出。ここまで安定してシーズンの前半を迎えようとするのはいつ以来だろうか。おそらくリーガとCLの2冠を制した05-06シーズン以来ではないであろうか。とりあえずはクレとしてはどっしりと構えていられる。

さてさて、もうすぐCLの組み合わせ抽選会がスイスのニヨンで行われる。今回の決勝トーナメント1回戦でバルサが当たる可能性のあるチームは、チェルシー、インテル、リヨン、アーセナルである。1位通過したにもかかわらずなんとも手強い顔ぶれ。できればさほど苦労せずベスト8へと駒を進めたいのだが、もはやこうなったらしょうがない。この4チームの中では比較的力の劣るリヨン、アーセナルと戦いたいとこだが、どうせ当たるならセリエA内で最強となっているからと言ってヨーロッパ全体においても最強だと勘違いしているインテル、新チームに変わり攻撃的サッカーをうたうチェルシーとのカードもみてみたいのがサッカーファンとしての真意。

  • チェルシーの攻撃の仕方の変化

そのチェルシーについての雑誌の記事を読んでみると、新たなフェリペ・スコラーリ体制となり、以前のモウリーニョ体制とはおおよそ異なるていをなしてきているようだ。モウリーニョは生粋の戦術家であり、カウンターサッカーを得意としている。クレとして記憶に残る04-05シーズンのCL決勝トーナメント一回戦では、悲しくもこのカウンターサッカーの餌食となった。ロッペン、ダフ、ジョーコール、グジョンセンらの素早いカウンターにより前半19分で0-3、途中、ロナウジーニョのPKと歴史的ゴールであるノンステップシュートで2-3とし、トータルスコア4-4のアウェーゴールでバルサが上回り準々決勝に王手をかけたのだが、テリーのヘッドにやられCLの大会から退いた。負けたとはいえCLの歴史に残る好ゲームだった。いやいや懐かしいゆえに、ついつい思い出に浸ってしまった。ま、とにかくこの時期がモウリーニョ体制での彼が目指していたサッカーの全盛期といえよう。固い守備により幾つもの攻撃を跳ね返し、研ぎ澄まされたカウンターによって得点し、あとはまたガチガチに守り抜いての勝利が特徴だった。いうなれば数々のタイトルを様々なチームにもたらした宰相ファビオ・カペッロに類似している。

そして今シーズンから始まったスコラーり体制ではどのように変わったのか。まず、最終ラインの位置である。以前よりも5m前に配置されるディフェンスラインはラインを上げることで中盤をコンパクトにし、前線で奪われても相手の高い位置でプレスをかけることができるようにしている。そのことでポゼッション率を上げ、数多くの攻撃チャンスを作ることを可能にしている。また、高い位置に移った両サイドバックはより縦の上下運動の長さが短くなる。そのことで攻撃参加をしやすくなり、厚みのある攻撃が形成される。そしてモウリーニョ体制で多くみられた、ドログバの空中戦での強さと屈強なフィジカルを頼りにしたロングフィードはあまり見られなくなり、短く早いパス回しがより多くみられるようになった。そしてデコ、ランパード、バラックらの長短のパスによって様々な攻撃を繰り広げている。ときには彼らの中距離砲も生きている。なんか数年前からライカールトが掲げていた攻撃論に近くなった気がするのは気のせいではないだろう。監督が代わった今のバルサにおいてもこの攻撃の仕方は根底を支えている。

こういったライバルチームの1つであるチェルシーの現在の状況を調べていくと、いろんな雑誌やメディアではとりわけサイド攻撃の仕方に注目している。確かに最近ではチェルシーだけに限定せず、サッカー界においてサイドアタックの重要性がささやかれているのは事実。そういえば近年、スターといわれるもしくは注目される選手はストライカータイプの選手よりもウィングタイプの選手が多いではないか。例えば、C・ロナウド、メッシ、ロナウジーニョ、フィーゴなどである。そして最近よく名前を聞くのもサイドアタッカーで、リベリー、ロッペン、ロビーニョ、シュバインシュタイガー、シルバ、アルシャービン、クアレスマ、ウォルコット、ブチニッチ、ジョー・コール、イニエスタ、マンシーニ、ディエゴ・カペルなどなど。そして今や攻撃の駒の一つとしてみられるサイドバックもしくはウィングバックである、ダニエウ・アウベス、ボジングア、ラーム、マイコン、グロッソ、セルヒオ・ラモス、アシュリー・コール、ロベルト・カルロス、サニャ、ラファエル・ファビオの両兄弟らも忘れてはいけない。他にも多くの才能ある選手が固まっている。そして各チームの指揮官もこの“サイド”を重要視していることが多く、それをもとにチームの補強や方針を決めていたりする。

  • サイド攻撃の変容

それではなぜこうもサイドに傾倒してきたのか。そもそもプラティニやクライフ、ジョージ・ベスト、マラドーナらのような伝説的選手が活躍していたころは守備の戦術は今ほど組織化されていなかった。つまり言い換えれば、彼らは現代においてはその類稀なる個々の力をもってしても歴史に名を残すようなことはできないということである。現代のディフェンスラインにおけるフォーメーションは4バック1ボランチ、4バック2ボランチ、3バック2ボランチの3つが主流である。ベッケンバウアーが体現したリベロ・システムなどは時代の移り変わりとともにかなり昔に廃れ、サイドに関しては今ではセンターバックのできるサイドバックよりもウイング、もしくはサイドハーフ並みに攻撃に顔を出すことができるサイドバックが重宝されてきている。そしてペナルティエリア付近に敷かれていた最終ラインは時代とともに上がってきている。最終ラインをあげることで、バイタル・エリアの位置をよりゴールから離れたとこに置き、また中盤をコンパクトにすることで前線でボールを奪えるようになったのである。これによってFWからの守備が重要視され、より高い位置でプレスを掛けるようになっていった。これらの傾向から中盤でのスペースがなくなり、またMFが受けるプレッシャーも強くなったため効率よい攻撃を生み出すのは必然とサイドのほうに移っていくのである。当初はサイド攻撃というのは単にタッチラインと平行に動き、クロスを供給することが主流だった。有名な選手としてベッカムが挙げられよう。そして、精度の高いクロスを上げれる選手が重宝された。しかし、4バック(とりわけセンターバックの2選手)が空中戦に強い選手が置かれるようになると、クロスばかりに頼った攻撃では得点できなくなってくる。そこで右サイドには左利きの選手を、左サイドには右利きの選手を配置する逆足での攻撃パターンもしくは、中に切れ込む動きまたはドリブルを持った選手が重要視されてくる。そうすることでよりバイタルエリアに近づき、よりゴールに近いCFとの距離が近くなって、CFとのコンビネーションで中央を崩すことができるようになったのである。さらに中央に動くことによりディフェンスラインが中央に偏り、その結果空いたサイドのスペースを攻撃参加してきたサイドアタッカーが生かすのである。こういった動きにより中央に移動してきた選手へのマークの受け渡しの混乱や、より広く空いたサイドのスペースに走りこんでくる選手への対応の遅れなどが得点につながっているのである。したがってこのような考え方が現代のサイド傾倒を促したのである。そして現在のスターがサイドのドリブラータイプの選手に多いゆえに、これからの次世代にはさらに多くの優秀なサイドアタッカーが出てくるのではないだろうか。そのためこれからの指揮官は数多くいる様々なタイプのサイドアタッカーの采配に頭を悩ますのではないだろうか。

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